「カードで。」
黒田真一は銀行カードを店員に渡した。店員は自分の手にある黒いカードを見て、一瞬固まった。
仙台市でこのカードを使える人は、黒田グループの社長ただ一人だけ…
なるほど、この男性が現れた時から、彼から放たれる強大なオーラが自然と感じられたわけだ。
「黒田…様、礼服はアイロンがけが必要です。仕上がりましたら、お届けにあがります。」
店員は黒田真一の身分を知ってからは、口調が変わり、頭を下げて恭しく接した。
「わかった。」
西村绘里はこのジャケットの高額さに内心痛み、黒田真一の贅沢な趣味に嫌悪感を抱いた。
……
会計を済ませ、一行が店を出ようとしたとき、思いがけず、绘里は入口で藤原海翔の妖艶な姿を目の前に見つけた。
「绘里ちゃん、どうしてここにいるの?」
「私は…黒田社長と一緒に明日の会社の年次パーティーの礼服を選びに来たの。」