第85章 おじさん、あなたはイケメンすぎて友達がいないの？(2)

口元がかすかに上がり、自分は酔っているのだろう。

愚かなことをしたと気づいた黒田真一は、口元に嘲笑の色を浮かべ、長い指で自分の額をこすった。振り返って車のドアを開けると、背後でバンという音がして、黒い瞳を少し顰めた。

「あいたっ...泣かないで、あなたは男の子なんだから！」

黒田真一：「……」

黒田真一が振り返ると、明らかに可愛らしい女の子の声なのに、自分のことを男の子だと言い張っている。視線は、豚の貯金箱を抱えた少女に固定された。

少女の小さな顔は非常に繊細で美しく、星のように輝く美しい瞳をパチパチさせ、潤んでいて、とても澄んでいた。

かわいいピンクの王女ドレスを着て、まるで小さな天使のようだった。おそらく転んで痛かったのだろう、眉をひそめ、今にも泣き出しそうだったが、必死に我慢していた。

とても頑固だ！

このような頑固な姿は、思わず西村绘里の小さな顔を思い出させた。

一目見ただけで、黒田真一は自分の心臓が何故か締め付けられるような感覚を覚え、自ら前に進み、小さな子を地面から抱き上げた。

小さな子の体重はとても軽かった……

体から漂う香りはとても良い匂いで、ミルクの香りがする赤ちゃんだった。

「怪我はない？」

甘奈はとても痛かったが、黒田真一を見上げたとき、思わず感嘆した。

わあ！

かっこいい……

甘奈は思わず唾を飲み込んだ。

うーん、ボーイよりちょっとだけかっこいいかも……

かっこいいおじさんは、自分がボーイよりもかっこいいと思った初めての人だった。

「おじさん、あなたはかっこよすぎて友達がいないんじゃない？」

黒田真一：「……」

黒田真一は少女の言葉に口元を少し上げ、注意深く少女の膝を確認し、問題がないことを確認してから、優しく言った。

「何を言ってるんだ、小さな女の子。」

視線は小さな子が抱えている豚の貯金箱に落ち、再び声を柔らかくした。

「こんな遅くに、どうして一人で出かけたの？」

「うーん、ママが病気だから、ママのためにお薬を買いたくて……おじさん、私のお金で足りるかな？」

少女はたった3歳ほどの年齢だった。こんなに小さな子供がこんなに思いやりがあるなんて、黒田真一の心は少し動いた。

「中にいくら入ってるの？」

「うーん、たくさんだよ……聞いて、すごく音がするでしょ。」