女性は毎月そういう日が数日あるものだ。
その感覚を、西村絵里はこれ以上ないほど熟知していた。
「黒田社長、ちょっとトイレに行ってきます。」
「ああ……」
黒田真一は淡々と返事をし、西村絵里の少しばかりの慌てぶりを目に収めながら、その後も平然と雪見を続けた。
……
西村絵里が再びトイレから出てくると、小さな手を組み合わせていた。
生理が、本当に来てしまった。
さっきズボンが多少汚れてしまった……
頭が痛い、自分の手元には生理用ナプキンが全くない……黒田真一の別荘には、長年黒田真一一人しかおらず、ましてやそんなものがあるはずもない。
西村絵里は完全に混乱していた。
早く家に帰らなければ。
……
リビングに入るとすぐに、西村絵里は黒田真一の高い背丈が俗世から隔絶されたかのように窓の前に一人立っているのを見た。非常に魅力的で、高慢な姿は、万家の灯火を見下ろす神のようで、神聖にして侵すべからざるものだった。