西村絵里は甘奈をあやして寝かしつけた後、浴室に入って疲れを洗い流した。
リビングに出て髪を乾かそうとしたとき、思いがけずドアをノックする音が聞こえた。
西村絵里は美しい瞳を見開いた。こんな遅くに、もしかして藤原海翔だろうか?
今日は老人の誕生日だったから、海翔は当然藤原家に泊まるはずだろう?
誰だろう?
西村絵里はドアに向かって歩き、少し開けて外を見ると、目の前に立つ男性を見て表情が変わった。
男性のハンサムな顔立ち、深い海のような瞳に、彼女は隠れる場所がなかった。
黒田真一だった……
西村絵里は反射的にドアを閉めようとしたが、男性が鉄の腕を伸ばして彼女の動きを阻止するのを見た。
「黒田奥さん、私を中に招かないのですか?」
黒田真一の深い黒い瞳が西村絵里の柔らかく白い顔に落ちた。髪は乱れ、まだ水滴が垂れていて、どうやら風呂上がりのようだった。彼女はピンク色のパジャマを着ていて、とても柔らかく美しく見えた。