部屋の中:
男女二人きり、特に黒田真一は危険な人物だったので、西村絵里はずっと緊張していた。
うん、まるで狼から身を守るように黒田真一を警戒していた。
狼から身を守る……
黒田スケベ。
西村絵里は口角をわずかに引きつらせ、視線をずっとバスルームの方向に向けたまま、高度な緊張状態を保っていた。
もし藤原家の人々が、実は黒田奥さんと黒田さんがまだ一度も同じ部屋に宿泊したことがないと知ったら、きっと驚きを隠せないだろう。
西村絵里は瞳を瞬かせ、正確に言えば意識がはっきりしている状態では、と思った。
確かに……
日曜日の夜、自分が気を失った時、黒田真一と一緒に臨海別荘に泊まったのだ。
……
「西村絵里、服を持ってきてくれないか」
西村絵里:「……」
「持ってきてくれないなら、バスタオル一枚で出ていくことになるかもしれないよ」
すごく気になる!
バスルームから聞こえる男性の磁性のある声に、西村絵里は唇を噛んだ。
彼は着替えを持ってきていないの?
西村絵里は瞳を瞬かせ、ソファの上に使用人が前もって用意していた清潔な着替えを見つけ、手に取ってバスルームの方へ歩いていった。
「黒田真一……ドアを開けて」
西村絵里はバスルームのドアの前に立ち、黒田真一に対する嫌悪感を隠せなかった。
黒田真一の前では、自分はいつも世話役のようなことをしている。
「黒田真一?」
西村絵里はバスルーム内から何の反応もないのを聞いて、無意識に手を上げてバスルームのドアをノックした。しかし、小さな手がバスルームのドアに触れた瞬間、ドアが突然開いた。
西村絵里が自分の手を引っ込める間もなく、男性の大きな手が彼女の手首をしっかりと掴み、そして一気に力を入れると、西村絵里は丸ごと黒田真一の腕の中に引き寄せられた。
抱えていた着替えもろとも。
……
「うん、いい香りだ」
黒田真一は西村絵里を腕の中に引き寄せた後、薄い唇を女性の首筋に近づけ、何気なく言った。
西村絵里:「……」
黒田真一がさっき止めたシャワーヘッドが、明らかに再び開かれ、温かい水がシャワーから噴き出し、すぐにバスルーム内は湯気で一杯になった。
西村絵里の視線は黒田真一の下半身を見る勇気がなかった。