部屋の中:
男女二人きり、特に黒田真一は危険な人物だったので、西村絵里はずっと緊張していた。
うん、まるで狼から身を守るように黒田真一を警戒していた。
狼から身を守る……
黒田スケベ。
西村絵里は口角をわずかに引きつらせ、視線をずっとバスルームの方向に向けたまま、高度な緊張状態を保っていた。
もし藤原家の人々が、実は黒田奥さんと黒田さんがまだ一度も同じ部屋に宿泊したことがないと知ったら、きっと驚きを隠せないだろう。
西村絵里は瞳を瞬かせ、正確に言えば意識がはっきりしている状態では、と思った。
確かに……
日曜日の夜、自分が気を失った時、黒田真一と一緒に臨海別荘に泊まったのだ。
……
「西村絵里、服を持ってきてくれないか」
西村絵里:「……」
「持ってきてくれないなら、バスタオル一枚で出ていくことになるかもしれないよ」