第200章 おはよう黒田奥様1更(7)

「おはよう。」

西村絵里は口元に微笑みを浮かべ、ぎこちなく挨拶した。

記憶では、彼女は黒田真一に挨拶するのは初めてだった。

黒田真一は薄い唇を引き締め、妖艶な笑みを浮かべながら、だらしなく口を開いた。「ああ、おはよう、黒田奥さん。」

西村絵里：「……」

おはよう、黒田奥さん、夫婦間の挨拶の仕方。

西村絵里は、以前は自分と黒田真一の関係をきちんと把握できていたと思っていたが、今の状況は予想外の展開になっていた。

自分と黒田真一の正しい関係を保つことがますます難しくなっていた。

「うん、まず私を離して、洗面に行くわ。時間も遅いし、お爺さまも朝食を待っているでしょう。」

男が上で女が下という体勢で、黒田真一は西村絵里の小さな顔のあらゆる微妙な表情をはっきりと見ることができた。

黒田真一は女性の柔らかく白い顔を見つめ、その透き通るような肌は非常に魅力的だった。

特に女性が寝間着を着ているため、首筋から下を見ると、美しい景色が一望できた。

「ふむ……でも昨夜、一晩中俺を誘惑していたことをどう清算するつもりだ？」

西村絵里：「……」

誘惑？

どういう意味？

西村絵里は美しい瞳を見開き、黒田真一の言葉の意味がすぐには理解できなかった。

黒田真一は薄い唇をかすかに上げ、女性が呆然としている様子を見ながら、手を上げて自分の胸を指さした。

西村絵里の視線が黒田真一の胸に触れると、雷に打たれたようだった。

このしるしは、彼女にはよく分かっていた。

よだれの跡だった。

甘奈が小さい頃、あるいは今でも、自分の腕の中で寝るとき、多かれ少なかれよだれを流すことがあったからだ。

つまり黒田真一の言いたいことは……

自分が彼の胸によだれを垂らしたということか？

しかもその跡を見ると、かなり……多いようだ。

西村絵里は今、甘奈がなぜよだれを流すのが好きなのかを理解した。自分から遺伝したのだ。

西村絵里は自分を激しく嫌悪しながらも、顔を引き締め、非常に真剣に口を開いた。

「黒田社長、申し訳ありません。寝ている間に不注意でつけてしまったものです。必要であれば、服をいただければ洗濯してお返しします。それ以外に、謝る以外に何もできません。」

そう言って、西村絵里は艶やかに微笑んだ。