黒田真一は西村絵里の濡れた姿を見て、頭を軽く頷かせた後、電話を持って窓の方向へ歩いていった。
「こんな遅くまで起きているなんて、いけない子だね。」
西村絵里は浴室に向かう足を一瞬止めた。
それはもう声が優しいというレベルではなく、甘やかしすぎて天に届くほどの兆候だった。
電話の向こうの女性のことを、黒田真一はきっと大切にしているのだろう。
それならばいい、3年の契約期間、残りの数ヶ月が終わったら、黒田真一が彼女のために自分を自由にしてくれることを願う。
そう考えながら、西村絵里は浴室に入り、ドアを閉めて外の声を遮断した。
……
甘奈は小さな唇を尖らせ、黒田真一の言葉を聞きながら、小さな手でミッキーマウスのぬいぐるみを抱きしめ、ベッドに伏せていた。
「おじさん、会いたいよ……会いたくて眠れないの。」