場所も勝手に変えるわけにはいかない……
彼女が欲しいのは、臨海別荘で。
黒田さんと黑田奥さんの家で。
彼女を完全に自分のものにしなければ。
ただ、二人のキスが深まるにつれ、黒田真一はすぐに体の奥底から湧き上がる衝動を抑えられなくなった。
目の前の女性を丸呑みにしたいという欲望が切迫し、待ちきれなくなっていた。
……
「僕について左手右手でスローモーション、右手左手でスローモーションリプレイ、この歌は君に幸せを、僕を好きになった?」
西村绘里:「……」
聞き覚えのあるメロディーが外の部屋で鳴り響き、西村绘里は美しい瞳をパチパチさせた。
とても馴染みのあるメロディー
ボーイのテーマ曲じゃない?
この歌は自分のスマホにもあるし、甘奈が一番好きな曲だ。
でも自分の着信音ではないはず。
黒田真一の熱いキスの動きが一瞬止まった、これは甘奈専用の着信音だった。
前回甘奈から電話があった後、彼女の番号をこの着信音で登録していた。これからは彼女からの電話には、いつもこのメロディーが鳴るようにしていた。
黒田真一は美しい瞳を光らせた。こんな遅い時間に、甘奈がなぜ自分に電話をかけてくるのだろう。
熱いキスが中断され、すべてが予想外の展開となった。
黒田真一は悔しさを隠せず、明らかに困惑している西村绘里の様子を見て、口元を少し引きつらせた。
お湯と熱いキスの潤いで、彼女の赤い唇は魅力的で、頬も赤く染まり、まるで赤いリンゴのように、思わず摘み取りたくなるほどだった。
黒田真一ののどぼとけが動き、黒い瞳はますます深く、妖艶になった。
「ちょっと電話に出てくる。今は見逃してやる」
西村绘里:「……」
西村绘里は先ほどの黒田真一の激しいキスでひどくめまいがしていた。彼の言葉を聞いて、やっと黒田真一のスマホが鳴っていることに気づいた。
黒田真一……
まさかボーイのテーマ曲を着信音にしているなんて。
以前彼のスマホが鳴った時、着信音を聞いたことがあるが、こんな感じではなかったはず。
どうやらプライベート用のスマホなのだろう。
西村绘里は黒田真一が長身の体にバスタオルを腰に巻き、寝室へ向かう姿を見ていた。自分は全身びしょ濡れで、今一番大事なのは早くお風呂に入ることだ。
しかし着替えはまだ外にある。そう思って、西村绘里も急いでバスルームを出た。