しかし、西村絵里に出会ってしまった。
ある瞬間。
黒田真一は自分が年をとったと感じた。
例えば……西村絵里と香坂悠生は幼なじみとして育ち、藤原海翔とも幼なじみだった。
自分は考えていた、もし自分と西村絵里の間に年齢差がなく、自分と西村絵里も幼なじみで、小さい頃から一緒に育っていたら。
今はどんな景色になっているだろうか?
そう考えると、黒田真一の黒い瞳はさらに深くなった。
西村絵里は男の冷たくも熱くもない言葉を聞いて、表面上は平静を装っているように見えても、言葉の中にある気取りを感じ取った。
黒田真一が、気取っている……
西村絵里は不自然に視線をそらし、小さな手を握りしめた。
バスルームには、すでに二人の体が一緒に詰め込まれ、湯気が絡み合い、呼吸も微かで非常に甘美なものになっていた。
「黒田社長……冗談を言わないでください」
そう言って、西村絵里は艶やかに微笑み、突然足を上げて男の足の甲を踏もうとして逃げる機会を窺ったが、黒田真一は明らかに動きが速く、長い脚で西村絵里の足を牽制した。
西村絵里が自分を「黒田社長」と呼ぶたびに、「黒田真一」と呼ぶときのような率直さ、本当の感情を表す素直さがないように感じた。
西村絵里は内心で「まずい」と思った。黒田真一と戦うたびに、黒田真一は明らかに一枚上手だった。
西村絵里は唇を噛み、美しい瞳で目の前の男を見つめると、男が大きな手を自分の頬に伸ばしてくるのが見えた。
黒田真一の長い指は、まるで珍しい宝物を扱うかのように、指の腹を西村絵里の頬に軽く留め、しばらく停滞した後、西村絵里の額の前の少し乱れた髪を耳の後ろに整えた。
「西村絵里、私が老けているかどうかを教えてあげる方法がある。試してみたいかな?」
言い終わると、黒田真一は大きな手で女性の後頭部を掴み、薄い唇を女性の潤った赤い唇に、ゆっくりと押し付けた。
西村絵里:「……」
後頭部を男に掴まれ、西村絵里は身動きができず、体を横に向けようとしたが、男の薄い唇は正確に自分の唇の端に落ちた。
「んっ……」
キスという行為において、最も男の横暴さと専制が現れる。
さらに、黒田真一は西村絵里が手を伸ばして押し返すことを事前に知っていたかのように、片手を空けて女性の両手を背中に回し、拘束した。