第211章 黒田奥様が黒田さんを一晩中予約する2更(9)

西村絵里：「……」

夫婦の間で、妻が妊娠するのは当たり前のことだ。

矢崎凌空は完全に自己中心的で、心理的にも暗すぎる。

こんな矢崎凌空と同じ部屋にいることさえ、西村絵里は少し気持ち悪く感じていた。

「私は妊娠して母親になろうとしている女性すべてに祝福を送るだけで、他に何も考えていません。それに、黒田奥さんが妊娠しているかどうかは、外部の噂に過ぎず、真偽は確定できません」

「ふん……西村絵里、あなたは考えが単純すぎるわ。黒田社長が甘い人だと思ってるの？」

西村絵里は美しい瞳を見開き、一瞬矢崎凌空の言葉の意味が理解できなかった。

矢崎凌空は西村絵里が完全に理解していない様子を見て、続けた。「この仙台市は黒田社長の縄張りよ、わかる？」

「わかります……」

この黒田真一は……ビジネス界と政界を股にかけている。

仙台市の顔役たちは誰も黒田真一を怒らせる勇気がなく、黒田真一も唯我独尊の態度を取っている。

だから、黒田真一はずっと仙台市の舵取りなのだ。

矢崎凌空は目を細め、続けた。「ふん……黒田家のニュースが流出するとき、そのすべては黒田社長が処理したものよ。黒田奥さんの妊娠というニュースも、黒田社長は今日の発表前に必ず知っていたはず……彼が止めずに、黙認して出したということは、黒田奥さんは確実に妊娠しているということよ」

西村絵里：「……」

西村絵里は最初、ただ見物人として、ゴシップ段階として聞いていたが、矢崎凌空のこの発言を聞いて、表情が少し変わった。

つまり、このニュースは黒田真一が事前に知っていたということだ。

おそらく朝の時点で……

あるいは昨夜の時点で。

いずれにせよ……

事前に知っていたのだ。

しかし、なぜ止めなかったのか？

自分は本当に愚かだった。この二人の身に着けている礼服やジュエリーはすべてはっきりと見えるのに、顔だけがぼかし処理されている。

明らかに人為的なものだ。

今、黒田奥さんが妊娠したというニュースを公衆に浸透させている黒田真一は、一体何をしようとしているのか？

矢崎凌空は西村絵里の顔色が青ざめているのを見て、西村絵里が若すぎてこの中の奥義を知らないのだと思い、冷笑した。

「私が思うに、黒田社長は黒田奥さんを表に出そうとしているのよ……」

西村絵里：「……」

以前は秘密にされていた黒田奥さん。