第217章 私のパパになってくれない?1更求訂(6)

西村絵里:「……」

無視。

西村絵里は聞こえなかったふりをして、ほとんど逃げるように事務所を出た。

黒田真一……

厚かましい。

……

黒田真一は慌てて逃げる西村絵里の姿を見つめ、薄い唇がかすかに上がった。おそらく西村絵里だけが、自分をこんなにもソワソワさせるのだろう。

しかし、それも西村絵里だからこそ。

彼女には十分な時間を与えよう、網を張り巡らせるために……

強制的に、しかも一瞬で決着をつけるのでは、あまりにも面白みがない。

黒田真一は薄い唇を引き締め、黒い瞳に魅惑的な光が走った。

うん……

西村絵里が自分に次々と驚きを与えてくれることを期待している。

自分が欲しい女性を、飼いならしたいわけではないが、自分の保護の輪から外れてほしくもない。

黒田真一が考え込んでいる時、プライベートの携帯が鳴った。見知らぬ番号からだった。