第236章 黒田社長が甘宝幼稚園へ1更求訂(7)

世界中のすべてを彼女にあげたいと思うほどだった。

「パパ、超かっこいい……へへへ」

黒田真一は自分が気を取られていたことに気づき、少し反応した後、我に返った。口角を少し上げて「ああ」と答えた。

「皆さんの甘奈への愛情に感謝します。おやつを用意しましたので、午後の休憩時間に届けさせます。これからも我が家の甘奈をよろしくお願いします」

「ありがとうございます、おじさん」

子供たちが口を揃えて言うと、黒田真一は軽く口角を上げただけで、笑って黙っていた。

「ありがとう、甘奈」

「どういたしまして。私のことが好きなら、絶対に私たちのボーイを応援してね……」

「もちろん」

黒田真一:「……」

最初は何とも思わなかった。

しかし今、甘奈が口を開けば閉じればボーイのことばかり話すのを見て、黒田真一は少し妬けていると感じた。

うーん……

少し嫉妬している。

小さな女の子の心がこのグループに向きすぎるのは望ましくない。

……

黒田真一は甘奈を抱いて教室を出た。甘奈はまだぼんやりしていた。

あらま……

おじさんが来たんだ。

会いたかったよ。

おじさん……

甘奈は興奮して小さな手を伸ばし、再び黒田真一の首に腕を回し、彼の頬にぺちゃぺちゃと何度もキスをした。

黒田真一:「……」

なぜか、心の中で甘いものが渦巻いているような感覚があった。

その感覚は、とても不思議なものだった。

黒田真一は口角を上げ、大きな手を伸ばして甘奈の少し乱れた髪を優しく整え、静かに言った。「久しぶりだね、私の甘奈クラブ団長」

「パパ……違う、違う、おじさん……おじさんどうしてここに?」

黒田真一は小さな女の子が「パパ」から「おじさん」に変わったのを聞いて、薄い唇を少し引き締め、静かに言った。「会いたくなったんだ。元気にしているか見に来たかった」

甘奈は感動して涙ぐみ、小さな手を伸ばして黒田真一の首に腕を回し、男性の胸に顔を埋めて、小さな声で言った。

「うん、すごく元気……自慢できるパパがいる感じってこんなに良いんだね。おじさん、私ずっと他の子たちに言いたかったの、私にもパパがいるって……うん」

まさにあの感覚……

他の子が高価なラジコン飛行機を買ってもらって、自分にはないという感じではなく。

みんなにはパパがいるのに、自分にはいないという感覚。