第231章 黒田社長が甘宝幼稚園へ1更求訂(2)

西村絵里は藤原海翔の言葉を聞いて、美しい瞳を瞬かせ、その後少し不自然な表情を浮かべた。

うーん……

確かに父親の役割が必要だ。

世界中がそう自分に告げている。

でも、自分だって甘奈にそのような存在を与えたいと思っているのに。

問題は、あの時の男のことを、自分も知らないということだ。

……

藤原海翔と西村絵里はまず甘奈を幼稚園に送った。

幼稚園の前に着くと、西村絵里と藤原海翔はそれぞれ甘奈の手を引いて幼稚園へ向かった。

「甘奈!」

少し離れたところにいた明くんは甘奈の姿を見つけると、興奮して叫んだ。

西村絵里はその声の方向を見た。

あれは明くんじゃない?

昨日、甘奈にパパがいないと言ったのは明くんで、それで甘奈はあのおじさんに電話したんだ。

明くんのことは西村絵里も知っていた。甘奈のことが大好きな男の子だ。

でも甘奈は……頭の中も、心の中も、目の中も、ボーイのことしか見えていなくて、他の人の存在が見えていない。

西村絵里は口元を少し上げた。明くんの目の中の明るさはまだ見えている……昨日のことは、きっと子供同士のちょっとしたいざこざだったのだろう。

西村絵里は率先して声をかけた。「明くん、おはよう。」

甘奈は小さな口をもぐもぐさせながら、昨日の不快な出来事はもう忘れていた。

子供は恨みを持たないものね。

「明くん、おはようございます……仙台市ボーイファンクラブ会長から、おはようのご挨拶です。」

西村絵里:「……」

こんな大きな肩書き、驚かされるわ。

藤原海翔は苦笑しながら口元を上げた。

うん、こんな会長の下で働くのは、自信があるな。

「わあ、甘奈、これがあなたのパパなの?すごくかっこいい、超クールだね!」

明くんは新大陸を発見したかのように、藤原海翔の姿を見て興奮していた。

元々他の子供たちは幼稚園に入ろうとしていたが、明くんがそう言うのを聞いて、みんな集まってきた。

「わあ……アイドルのお兄さんよりもかっこいいね。」

「違う違う……すごくかっこいい……これって本物?モデルさん?触ってみてもいい?」

藤原海翔は白いスーツ姿で、特に颯爽として見えた。完全なハンドメイドで、上質な素材のものだった。

藤原海翔はもともと体格も良く、それに妖艶な顔立ちで、自然と皆の視線を集めていた。