第242章 黒田奥様を壁ドン2更(3)

「うん。」

黒田真一はそっけなく返事をし、口元にかすかに皮肉な笑みを浮かべた。

この矢崎凌空は山口琴子の目となり、本当に責任を果たしているようだ。

西村絵里!

黒田真一は薄い唇を引き締めた。

実力で言えば、西村絵里は間違いなく矢崎凌空より上だ。ただ、手段は矢崎凌空ほど多くない。西村絵里ができないわけではなく、そもそも彼女がそういうことを軽蔑しているからだ。

……

西村絵里はデザイン部に来ると、すぐに煩雑な仕事に取り掛かった。

矢崎凌空と受注数を比べると、今の自分の業績総額は矢崎凌空に大きく差をつけられている。

黒田真一は数だけを計算していて、利益額は計算していないため、たとえ香坂家が大きなデザイン案件だとしても、自分に計上されるのは1件としてしか数えられない。

今や矢崎凌空は明らかに自分を押さえつけようとしていて、会社の上層部の承認が必要ない多くの小さなプロジェクトを全て自分の名義で引き受けている。