第241章 黒田奥様を壁ドン2更(2)

「じゃあパパ、日曜日に会おうね。ママを彼女として紹介するからね」

「いいよ」

黒田真一は口元をわずかに引き締めた……子供の純粋な気持ちだ。

自分にはわかっている。

「パパ、仕事に行くの？ママも毎日仕事で急いでるよ。意地悪な上司に給料を減らされるって心配してるの。本当に意地悪な上司なんだよ」

「パパも仕事に行ってね。ごめんなさい、また私が分別なくてパパの時間を無駄にしちゃった」

そう言って、甘奈は申し訳なさそうに頭を下げ、小さな手をもじもじとねじった。

この分別のある様子が黒田真一の目に入り、彼の表情はさらに柔らかくなった。

「いいよ、甘奈はパパの心の中で一番分別があるよ。じゃあ日曜日に会おう」

「うん、パパバイバイ。意地悪な上司に気をつけてね」

「わかった」

黒田真一は口元をわずかに引き締めた。自分が社長なのだから、出勤の心配など全く必要ないのだが、子供はまだ小さいし、今詳しく説明しても理解できないだろう。だから黒田真一は唇を引き締め、結局何も言わなかった。

……

甘奈が黒田真一を見送りたいと言い張ったが、黒田真一は心配で、吉田先生に出てきてもらい甘奈を連れ戻してもらった。甘奈に問題がないことを確認してから、黒田真一はようやく近くのキャデラックに乗り込んだ。

運転席に座っていた村上秘書は、黒田真一と甘奈の別れの様子をすべて目にしていた。

なんてこと……

いつも無表情な黒田真一が。

まさか……

子供とあんなに親密に。

そして目には愛情が溢れていた……

それに、あの小さな女の子、超かわいい！可愛すぎる！大きな目と眉、愛らしくて人懐っこい。ママはきっと美しいに違いない、そんな良い遺伝子を娘に受け継がせるなんて。

ああ……車の中に座っていても、すぐに車から出て、あの小さな女の子を抱きしめて、撫でて、キスしたくなる。

黒田真一は車内に座り、視線は遠くで吉田先生が甘奈の手を引いて去っていく後ろ姿に向けられていた。

甘奈は数歩歩くごとに、振り返らずにはいられなかった。

言うまでもなく、きっと自分を探しているのだろう。

黒田真一は黒い瞳を少し顰め、自分の心の中に明らかに名残惜しさの感情が芽生えていた。

そしてそれは無制限に広がっていった……