西村絵里は満足げに口角を上げた。
自分は成功した。
黒田真一は薄い唇を引き締め、視線をゴルフボールが穴に入るのに固定し、満足げに口角を上げた。
西村絵里のゴルフの腕前は……
とても良い。
西村絵里は物事を学ぶのも早く、自分が多くを語る必要はない。
簡単なことを簡潔明瞭に説明するだけで十分だ。
「黒田社長、入りました」
西村絵里は最初の数回は意図的に手加減して、氷川様の警戒心を緩めさせ、後でボールを打つときは、心の中ではまだ少し不安だった。
ゴルフボールが穴に入るのを見て、心の中で興奮を抑えられなかった。
黒田真一は西村絵里のそのような喜びに満ちた様子を見て、薄い唇を少し上げた。
「うん、見たよ」
「西村絵里、ご褒美が欲しいのかい?」
「え?」
西村絵里は美しい瞳を見開き、黒田真一が大きな手を伸ばして自分の後頭部を掴み、そして自分を黒田真一の腕の中に引き寄せるのを見た。
西村絵里:「……」
次の瞬間、男性の薄い唇が、正確に自分の位置を捉え、そして覆いかぶさってきた。
「んっ」
西村絵里は黒田真一のキスに驚いた。ちゃんと練習すると言ったはずなのに、なぜ黒田真一は突然キスをしてきたのか。
遠くには、氷川様や他の社長たちが見ているかもしれないのに。
黒田真一は外では妻がいることが知られているのだ。
そうなると、自分は不倫相手になってしまうのではないか?
それに……これでは職場でのセクハラという帽子をかぶせられてしまう。自分と黒田真一のこの姿を見れば、誰もが自分が部下として、純粋でない考えを持ち、黒田真一を誘惑したと思うだろう。
そうなると、西村絵里は、自分が黄河に飛び込んでも潔白を証明できないと感じた。
心が重く沈んだ。
黒田真一は西村絵里が抵抗しようとするのを見て、もう一方のゴルフクラブを握っていた大きな手を上げ、西村絵里の腰を掴み、彼女が動けないようにした。
さらに重要なことに、抵抗のため、西村絵里は肩にかけていたスカーフが少し滑り落ちそうになっているのを明らかに感じることができた。
こうなると、自分はほぼ完全に男性の前に晒されることになる。
西村絵里:「……」
スケベだな。
西村絵里は明らかに、黒田真一のキスが集中していないこと、非常に無遠慮であることに気づいた。
「んっ」