青空ビル:
西村絵里が黒田真一の個室から出てきた後、密かに時間を計算した。
トイレに行くなら、10分もあれば十分だろう。
そのため、西村絵里は甘奈とかなり親密に過ごした。10分の余裕を持たせたつもりだったが、15分が経過してから、西村絵里はようやく名残惜しそうに口を開いた。
「甘奈ちゃん、ママはちょっとトイレに行ってくるね。すぐ戻るから、藤原おじさんとここで大人しく待っていてね。」
「了解、ママ。いい子にしてるよ。」
「うん、いい子ね。」
西村絵里は思わず甘奈の頬に近づき、思いきりキスをした。藤原海翔と簡単に視線を交わした後、名残惜しそうに個室を出て、隣の219号室へ直行した。
うーん……
この数字、本当に偶然だな。
部屋に入ると、西村絵里は黒田真一が優雅にステーキを切っている姿を目にした。彼は何をするにも物静かで落ち着いた様子で、彼の心の内を少しも読み取ることができない。