第315章 甘奈のママは西村絵里1更求訂(8)

西村絵里は小さなロリータの様子を見て、思わず口角が上がった。

うん……今日は願いが叶って、本当にボーイを見ることができた。

……

藤原海翔は人の海の中で30分も押し合いへし合いして、ようやく3本の水を買って戻ってきた。

額には汗がびっしりと……

クソッ!

足の革靴は踏みつけられてボロボロになっていた。

服も引っ張られてひどい状態に……

帰ったら絶対にしっかり洗わなければ。

しかし、母娘の前では、藤原海翔はまだ平然とした態度を装っていたが、少し狼狽えた様子だった。

「はい……どうぞ、飲んで。」

「藤原三郎、あなたが先に飲みなさいよ。」

「大丈夫だよ……喉乾いてないから、うちの甘奈ちゃんが先に飲んで。」

「だめです、藤原おじさんが一番大変だったから、藤原おじさんが先に飲むべきです。」

甘奈は藤原海翔が汗だくになっているのを見て、真剣に言った。

藤原海翔:「……」

クソッ、価値があった。

こういった些細なことは、部下にやらせることもできたはずだ。

しかし、藤原海翔はそうしたくなかった……

母娘のために何かをするなら、自分で直接やりたいと思っていた。

他人の手を借りてやりたくはなかった。

「わかった、うちの甘奈ちゃんの言う通りにするよ。」

藤原海翔は甘奈から水を受け取り、一口飲んだ。

味は最高だった……

藤原海翔は満足げに口角を上げ、それから言った:「さあ……甘奈ちゃん、飲んで。」

「藤原おじさんは本当に大変だったから、もう一口飲んでください。」

「わかった。」

小さなロリータが頑固な様子を見て、藤原海翔はもう一口飲んだ。

西村絵里はバッグからティッシュを取り出し、丁寧に藤原海翔の額の汗を拭いてあげた。

「次回は家から持ってくるわ。会場にこんなに人がいるとは思わなかった。」

「大丈夫だよ、うちのボーイが人気者なんだから……うちの小さな団長の教育の賜物だね。」

「へへへ……」

西村絵里は藤原海翔のこんな軽薄な様子を見て、口角が上がり、苦笑した……

本当に、藤原海翔は心温まる人だと思った。

……

VIP観客席に座り、他の席が人で溢れかえっている様子を見て、西村絵里と藤原海翔も多少驚いていた。

まさか……ここにこんなに人がいるとは。

どうやら、今は本当にイケメン若手スターの時代なんだな。