西村絵里と藤原海翔は笑うに笑えなかった……
西村絵里は視線を少し離れた独立した休憩室に向け、唇を噛みながら好奇心を持って尋ねた:「海翔、あそこもコンサートを見る場所なの?」
「そうだよ……すでに誰かに予約されてる……コンサートを見るための特別な場所……僕もこのVIP席しか取れなかったんだ。」
このボーイの人気は高すぎる……仕方ないね。
チケットは無料だったが、このVIP席の位置、混雑しない場所を確保するために、藤原海翔はお金を払って購入したのだ。
西村絵里は唇を噛んだ……
見たところ、あそこはきっと熱心なファンのためのものだろう。
「うーん……中はまだ明かりがついていないね、まだ人が来ていないんじゃない?」
西村絵里の好奇心旺盛な様子を見て、藤原海翔は大きな手を伸ばして彼女の髪を優しく撫で、愛情を込めて言った:「僕たちは自分のコンサートを楽しもう。終わったら、人が散らばるのを待ってから出よう。甘奈ちゃんが押されないようにね。」
「うん。」
……
甘奈は西村絵里と藤原海翔の会話に気づかず、小さな口をもぐもぐさせながら、自分はずっとパパを待っていたのだ。
パパ……どこにいるの……うう、会いたいよ、ずっと待ってるよ。
……
夜8時、コンサートが正式に始まった。
しかし甘奈はあまり興味を示さず、ずっと小さな手で藤原海翔の携帯電話を握りしめていた。自分でパパに電話をかけたが、パパは出なかった。
でも、自分は信じている、パパはきっと自分に電話をくれるはずだ。
うん、待っていなきゃ……
「甘奈、見て、ボーイが登場したよ……」
西村絵里も初めてコンサートに参加し、三人のかっこいい少年が高いところからステージに降りてくる姿を見て、とてもクールだと思い、思わず驚きの声を上げた。
会場内には、女性たちの致命的な悲鳴が次々と響き渡った。
「ボーイ!愛してる……一生一緒に歩んでいくわ。」
「かっこいい……ああああ……本物を見たわ、うううう……」
西村絵里:「……」
これは興奮しているのか、それとも興奮しているのか……なぜ西村絵里は隣の女性たちが泣いているように感じるのだろう。
はあ……
本当に興奮しすぎなんだろう。
彼女たちと比べると、西村絵里は、自分の甘奈の方がスター追いかけるのに理性的だと思った。