黒田真一の端正な顔が冷たさを増し、大きな手で直接甘奈を抱き寄せた。
「西村絵里、子供に当たるのはやめなさい」
西村絵里:「……」
彼女は怒っているのではなく、ただ恐れていた。
自分も甘奈も、黒田真一とこれ以上関わりを持ちたくなかった。
黒田真一はすでに甘奈のために裏口を使って、ラッキーファンとしてステージに上がらせていた。
このままずっと続けられるのだろうか?
西村絵里は黒田真一の言葉を聞いて、唇を噛んだ。
「私は先に甘奈を連れて祝賀会に行くよ」
言い終わると、黒田真一は抱えていた小さな少女を連れて休憩室の出口へ向かった。
藤原海翔は無意識に黒田真一の行く手を阻んだ。
黒田真一は最初、怒鳴りつけようとしたが、自分の腕の中で困惑している小さな少女に視線を落とすと、すぐに甘奈をボディーガードに預けて外に連れ出させ、その後鋭い視線を藤原海翔に向けた。
「藤原海翔、私を止める前に、考えてみろ……お前にはそれだけの力があるのか、私を止めた後の全ての結果を引き受けられるのか。もしできないなら……どけ」
黒田真一の言葉は重みがあり、藤原海翔の表情が少し変わった。
前回、青空ビルで、黒田真一の警告がずっと耳に残っていた。
うーん……
お爺さん……
自分の兄たちの将来。
自分は独身だから、気にしなくてもいいが、藤原家全体のことを無視するわけにはいかない。
藤原海翔は拳を強く握りしめた。
西村絵里は二人の男が対立している様子を見て、自ら前に出て言った。
「黒田真一、私もあなたと一緒に祝賀会に行くわ」
「ああ……」
黒田真一は淡々と返事をし、その後言った。
「黒田奥さんは黒田さんの臨海別荘に住む必要がある……今夜、あなたと甘奈は私のところに来て泊まりなさい」
藤原海翔:「……」
黒田真一がこの言葉を言ったとき、明らかに自分を見ていた。
甘奈が西村絵里の娘なら……名目上は、彼黒田真一のものでもある。
藤原海翔は心臓が跳ね上がり、非常に心配して言った。
「黒田真一、絵里ちゃんは今夜あなたと行くことはできない……」
西村絵里が黒田真一にこんな大きなことを隠していた……藤原海翔は、西村絵里が黒田真一と行ったら何が起こるか想像もできなかった。
黒田真一は口元に嘲笑を浮かべ、まるで藤原海翔の無知を嘲るかのようだった。