黒田真一の端正な顔が冷たさを増し、大きな手で直接甘奈を抱き寄せた。
「西村絵里、子供に当たるのはやめなさい」
西村絵里:「……」
彼女は怒っているのではなく、ただ恐れていた。
自分も甘奈も、黒田真一とこれ以上関わりを持ちたくなかった。
黒田真一はすでに甘奈のために裏口を使って、ラッキーファンとしてステージに上がらせていた。
このままずっと続けられるのだろうか?
西村絵里は黒田真一の言葉を聞いて、唇を噛んだ。
「私は先に甘奈を連れて祝賀会に行くよ」
言い終わると、黒田真一は抱えていた小さな少女を連れて休憩室の出口へ向かった。
藤原海翔は無意識に黒田真一の行く手を阻んだ。
黒田真一は最初、怒鳴りつけようとしたが、自分の腕の中で困惑している小さな少女に視線を落とすと、すぐに甘奈をボディーガードに預けて外に連れ出させ、その後鋭い視線を藤原海翔に向けた。