西村絵里はごく自然に「パパ」と口にし、その後、眠そうな甘奈を抱いてトイレの方向へ歩いていった。
今日のコンサートで、小さなロリータは水をたくさん飲んでしまったのだ。
邪魔された情熱……
黒田真一のハンサムな顔は不機嫌そのものだった。その後、パジャマを着て、バスルームの方向へ歩いていった。
なぜなら……
甘奈は娘だからだ。
だから黒田真一は直接入るわけにはいかなかった。
西村絵里と甘奈が済ませるのを待つしかなかった。
……
甘奈は十分に眠れず、尿意で目を覚まし、小さな唇を尖らせて、とても不機嫌だった。
ようやくトイレを済ませた後、少し意識が戻ってきた。
「うぅ……ママ、パパはどこ?パパがいい。」
甘奈は普段、目が覚めた後は誰も要らず、自分だけを求めるのだった。
さらには、藤原海翔さえも要らなかった。
なのに……黒田真一を求めるなんて。
西村絵里の心は崩壊しそうだった……
自分が何年もかけて育てた大切な娘が。
知り合って数日しか経っていない黒田真一に心を奪われるなんて。
西村絵里は心の中の嫌悪感を必死に押し殺し、優しく言った:「いい子ね、泣かないで、ママが抱っこして探してあげるから。」
「うぅ……」
さっき……もし甘奈がおしっこで目を覚まして自分と黒田真一を探しに来なかったら。
おそらく……
二人は本当の夫婦になっていただろう。
思いもよらなかった。
西村絵里は心の中で大きくため息をついた。
自分と黒田真一の駆け引きの結果、最終的には甘奈の勝ちだった。
そう思うと、西村絵里は口元を緩め、小さなロリータのピンク色の頬にキスをして、優しく言った。
「いい子……甘奈はママの宝物よ。」
「うぅ……」
……
西村絵里が甘奈を抱いてバスルームから出てきたとき、黒田真一の長身が目の前に立っているのが見えた。
西村絵里は少し顔を赤らめた……
さっき起きたことを思い出し、目の前の男性を直視することができなかった。
「甘奈は起きた時に機嫌が悪いの。あなたに抱っこしてほしいみたい、少し抱いていてくれる?」
言うなり、西村絵里は腕の中の甘奈を黒田真一の腕の中に渡した。
黒田真一:「……」
「私は……服を着てくるわ……それから……彼女を寝かしつけに戻ってくるから。」
言い終わると、西村絵里は寝室の方向へ走っていった。