第413章 名目上の夫婦1更(11)

……

ただ、西村绘里と黒田真一が飛行機から降りた時、携帯の電源を入れると、西村绘里の携帯が鳴った。しかし、電話は香坂悠生からだった。

西村绘里の口元の笑みが凍りつき、皮肉な笑みを浮かべながら電話に出た。

「もしもし……」

「绘里、さっきまでずっと電源が切れていたけど、どうして?」

「うん、さっきまで飛行機に乗っていたの……黒田真一と一緒にイタリアに出張に来たの」

西村绘里は平静に答え、視線を隣の黒田真一に向けた。男は足を止め、大きな手で西村绘里の空いている小さな手を握った。その手に力が入り、男の怒りが溜まっていることを示していた。

西村绘里の顔色が少し青ざめた。

香坂悠生は「出張」という言葉を聞いて、明らかに二人きりの時間だと思った。

夫婦なのだから、出張という名目で二人の時間を過ごせるなんて……