西村絵里はついに目の当たりにした……
三十歳の男性が……
一体どれほど狂おしいものなのかを。
まるで……狼に変身したかのよう。
あなたを食べ尽くして何も残さない。
西村絵里は大きく息を吸い、喘いだ。
視線を頭上の星空に向けると、とても美しかった。
黒田真一は狂おしくも、同時に優しかった。
事後、黒田真一は大きな手を伸ばし、西村絵里をそのまま抱き寄せた。
西村絵里は黒田真一の胸に寄り添った。
唇を噛み締め、瞳の奥に暗い光が広がっていった。
他人同然で、名ばかりの関係だと言っていたのに。
それなのに……
今や、自分は名実ともに黒田奥さんになっていた。
西村絵里は唇を噛み締め、先ほど失った理性が少しずつ戻ってきた……
でもまだ足りない……
ほろ苦さが、心の中でそっと広がっていった。