自分は浴室で簡単に確認したところ、本当に全身、男の残した情事の痕跡だらけだった。
黒田真一はきっと犬属性なんだわ。
そう……間違いない。
そう思いながら、西村絵里は黒田真一に対して嫌悪感を抱いた。
……
「パパ、ママが来たよ……」
甘奈は後ろにいる西村絵里を見て、思わず興奮して叫んだ。
西村絵里は口元に微笑みを浮かべ、父娘のいる方向へ歩いていった。
黒田真一が薬を塗ってくれたおかげで、自分はだいぶ良くなっていた。
でも全身が酸っぱくて力が入らない……
まるで自分の体じゃないみたいだった。
昨夜の男がどれほど激しかったかが分かる。
西村絵里がソファに座ると、甘奈は興奮して言った:「パパ、ちょっと離して、ママを抱きしめたいの。」
黒田真一はそれを聞いて、優しく言った:「甘奈ちゃん、ママは昨夜とても疲れたから、今は抱っこできないんだよ……」
西村絵里:「……」
黒田真一が、わざわざ自分が昨夜疲れたことを強調するなんて?
西村絵里は完全に恥ずかしくなり、小さな顔が真っ赤に燃え上がり、呼吸さえ乱れてしまった。
子供の前でこんなこと言うなんて……
あまり良くないんじゃないかしら。
「うーん、パパ、どうしてママは昨夜そんなに疲れたの?」
甘奈は潤んだ大きな瞳で、学ぶ精神に燃えて、真剣に黒田真一に尋ねた。
黒田真一:「……」
小さな女の子にそう聞かれて、一瞬どう答えればいいか分からなかった。
黒田真一は薄い唇をかすかに曲げ、それから口を開いた。
「なぜなら……」
「あっ、わかった!ママはまた残業してたの?意地悪なボスに無理やりさせられて。」
西村絵里:「……」
残業……
この言葉の使い方。
まさか……
黒田真一はそれを聞いて、口元の笑みを深め、西村絵里に意味ありげな視線を送りながら、低い声で言った。
「うん、そうだよ……昨夜、ママは確かに残業してた……それも、パパと一緒に残業して、とても大変だったんだ……」
西村絵里:「……」
西村絵里はもう聞いていられず、思わず反論した:「黒田真一、甘奈を悪い方向に導かないで。」
「うん、僕は事実を言っているだけだよ。」
西村絵里:「……」
二人の視線が交差し、目に見えない緊張が流れた。
西村絵里の小さな顔は不自然なほど真っ赤になり、先に視線をそらした。