第450章 パパがママを壁ドン2更(1)

父娘の話題について、西村絵里は一言も口を挟めなかった。

そして、本当にどう言えばいいのか分からなかった……

残業だとか……弟を産むだとか。

この黒田真一の言葉は……まったく普通の仕事関係として見ることができず、明らかにセクハラだった。

西村絵里は口元を引きつらせ、そして小さな少女が自分に向かって真剣な様子で話すのを聞いた。

「ママ……頑張ってね……パパとしっかり残業して、努力して、辛くても頑張って、もっと頑張って……ハハハ」

西村絵里:「……」

何を頑張るって?

この小さな女の子は今、状況がまったく分かっていないの?

西村絵里は口角を引きつらせ、小さな女の子の真剣な様子を見て、黒田真一が子供を悪い方向に導いていると言いたくなった。

「甘奈!」

「あら、ママが今日寝坊したのは、昨日の夜パパと残業したからでしょ?夜勤までしたんでしょ……」

西村絵里:「……」

西村絵里は今や「夜勤」という三文字をまともに見ることもできなくなっていた。

なぜなら、あまりにも曖昧で、意味が変わってしまっていたから。

「うーん……ねえママ、相談があるんだけど、もし弟を産んでくれたら、副団長に昇進させてあげるよ、どう?」

「ママ……私のこの団体はね、実は将来性がすごくいいの……ほら、今はひいおじいちゃんも入ったし……昨日はね、ひいおじいちゃんがボーイも入れたから、すごく大きくなってるの……副団長になるのは、とても面目のあることだよ」

西村絵里:「……」

つまり、今は利益で誘惑しているの?

しかし、お爺さまがボーイをも脅して自分のファンクラブに入れさせるなんて、まるで山賊と変わらないじゃない。

西村絵里は前回のビデオでのボーイグループ三人の恨めしそうな顔を思い出し、口角が激しく痙攣した。このひいおじいちゃんの甘奈への溺愛は、本当に度が過ぎている。

それに、自分が甘奈をここまで育て上げるのは、本当に大変だったのに。

甘奈が……まだこんな話を自分としているなんて。

西村絵里はむっとして言った:「だめよ、弟を産むなんて、考えないで……」

西村絵里は美しい瞳で黒田真一の上がった口角を見つめ、一瞬暗い光が過った。

突然……あることを思い出した。

それは、黒田真一が昨夜何の安全対策もしなかったということ。