第451章 パパがママを壁ドン2更(2)

西村絵里:「……」

西村絵里は男の横顔を見つめていた。否定できないことだが、黒田真一はまさに完璧なほど整った顔立ちの持ち主だった。

どんな状態であっても、彼はいつも最も魅力的で人を圧倒する存在だった。

さらに……

どんな角度から見ても。

彼は極限まで洗練された美しさを持っていた。

こんな男性は……

まるで天上の存在のようだった。

そう思うと、西村絵里の心の中で複雑な感情が渦巻いた。

黒田真一という男は、まさにケシの花のようだ。触れれば毒に侵されることを知りながらも、思わず近づいてしまい、そして堕ちていく。

……

レストランでは、給仕係がすでに豪華なローマ風の朝食を用意していた。

食器はすべてプラチナや銀製の非常に美しいものだった。

小さな甘奈はすでにたくさんのお菓子を食べていたので、お腹はいっぱいだった。飛行機の中でもしばらく眠っていたため、まったく眠気はなかった。

西村絵里は食欲があまりなく、少し食べただけで箸を置いた。

黒田真一は黒い瞳を細め、目の前の女性をじっと見つめ、薄い唇を引き締めた。

「どうした……口に合わないのか?」

「うん」

西村絵里は黒田真一を見上げることなく、不自然に視線をそらした。

昨夜のことがあってから、二人の関係は完全に変わってしまった。

上司と部下の関係と言いながら……明らかに関係を持ってしまった。

もし……夫婦関係だとしても。

しかし、二人には婚前契約があった。

重要なのは、男の心は海のように深いということだ。

誰が彼の心の中心にいるのか、それは分からない。

……

黒田真一は西村絵里が食欲がないと聞くと、すぐに表情を曇らせ、薄い唇を引き締め、横にいる給仕係に厳しい口調で言った。

「どういうことだ?」

給仕係は黒田真一の怒りの様子を見て、すぐに弱々しく口を開いた。

「黒田さん……申し訳ありません、黒田奥さんのお口に合わなかったようで……すぐにキッチンに連絡して作り直します。申し訳ありません、どうかお怒りを鎮めてください」

これらはすべて五つ星ホテルの高級シェフが作った料理だった……どの一品も逸品で、値段も高価なものだった。

まさか、黒田奥さんが全く食欲がないとは。