西村絵里はステーキを食べながら、黒田真一の言葉を聞いて、唇の端をちょっと引き上げた。
気の強さ……
この三文字が、なぜか西村絵里の心に波紋を残した。
甘やかすことについては……以前、西村安国も似たようなことを言っていたような気がする。
……
西村絵里が一瞬ぼんやりとした様子を見て、黒田真一の脳裏には昨夜の出来事が浮かんだ。西村絵里が積極的に体を翻して自分を押し倒し、自分を抱くと宣言した時のこと。
そんな西村絵里の姿は、本当に可愛らしかった。
女性の気まぐれな性格が、彼女の中に余すところなく表れていた。
それなのに……自分はそんな西村絵里の姿に、甘んじて喜んでいた。
……
黒田真一が指示を出したので、ウェイターはすぐに広東料理を運んできた。
本場の香港シェフが直々に調理したものだった。