西村絵里はその様子を見て、思わず全身に冷や汗をかいた。
カリーナは、一体何をしようとしているのか……
名誉や利益での誘惑が効かないから、今度は色仕掛けで直接誘惑するつもりなのか?
そう考えると、西村絵里は小さな手を握りしめた。
そのとき、黒田真一が薄い唇を引き締め、冷たい言葉が書斎に響いた。
「カリーナ、君のその姿は、ローマのメディアが喜びそうだね」
言い終わると、黒田真一はすぐに携帯を取り出し、電話をかけようとする仕草をした。カリーナは顔色を変え、急いで前に出て言った。
「黒田社長、私の体つきは黒田奥さんより劣るのですか?だから私に魅力を感じないのですか?」
西村絵里:「……」
西村絵里はカリーナを見つめ、それから自分の体を見下ろした。
うーん……
確かに少しだけ良いかもしれない。
でも、ほんの少しだけ。
まあ、この言葉を思いながら、西村絵里の心は後ろめたかった。
なぜなら……
自分の体つきは、実はそれほど良くないから。
アジアの女性が、ヨーロッパの女性のように情熱的で奔放で、それに……発育が良いわけがない。
西村絵里は思わず咳払いをし、自分が何を考えていたのかに気づいて、顔が真っ赤になった。
カリーナというあの恥知らずな女……
黒田真一がどう答えるのか全く見当がつかない。
しばらくして、男の低い声がキッチンに響いた。
「君の体つきは、確かに西村絵里より良いかもしれない……」
西村絵里:「……」
なんてこと。
黒田真一がどうしてこんなことを言えるのか。
明らかに……彼は自分の体を手放したくないほど愛していたのに。
散々自分に触れておきながら。
男というのは触れた後すぐに責任逃れをする。
やっぱり人でなしだわ。
そう思うと、西村絵里は黒田真一に対して嫌悪感を抱いたが、次の瞬間、男の磁性のある言葉が彼女の考えを一変させた。
「しかし……これは大多数の男性から見ればの話だ……私の目には、西村絵里の体が最高だ」
西村絵里:「……」
西村絵里の美しい瞳が震え、心にまた奇妙な感情が走った。
「申し訳ないが、私の視界には西村絵里という女性しか入らない。だから、たとえ君が私の前にいても、私の注意は君に少しも向かない」