西村絵里は自分の心の中では完璧だった。
ただし……お腹にはまだ傷跡が一つある。
黒田真一は黒い瞳で思案げに見つめた。以前、西村絵里はその傷跡が虫垂炎の手術で残ったものだと言っていたが、もし自分の推測が間違っていなければ……
おそらく西村絵里が甘奈を産んだときに残ったものだろう。
くそっ!
自分はあの時、女にこんなにも簡単にだまされていたのか。
……
「もう遅いから、カリーナ、私は先に行くよ。妻と娘が下で待っている。意味のない人と時間を無駄にしたくない」
言外の意味は、このカリーナこそが最も意味のない人間だということだ。
このように直接空気のように無視されることに、カリーナは恥ずかしさと怒りを覚えた。
言い終わると、黒田真一はすぐに立ち上がり、裸のカリーナを無視して、ドアに向かって歩き始めた。