第487章 黒田さんが痴漢行為1更(2)

西村絵里はまだ信じられない気持ちでいた……

二人の接点はあまりにも少なく、3年の婚約期間のうち、丸2年は空白だったのだ。

黒田グループで働き始めても、ただの上司と部下の関係だった。

そしてその後……

自分は特別際立った女性ではなく、カリーナが言うように、素晴らしい家柄の出身でもない……

しかも子供もいる。

さらには……以前は黒田真一の弟である香坂悠生とも複雑な関係にあった。

今では藤原海翔までいる。

要するに、黒田真一の言葉を借りれば……周りには厄介な異性が次々と現れる。

結局、西村絵里は自分が塵のように卑小な女性で、黒田真一は神のように高みにいると感じていた。

自分には手が届かない存在だ。

西村絵里は……今でもまだ夢の中にいるような気分だった。

黒田真一は西村絵里の美しい瞳が珍しく迷いを帯びているのを見て、薄い唇を少し上げ、大きな手で女性の頬を撫で、深い瞳で見つめた。

「すまない、この質問は私も聞きたいんだ。西村絵里、君は一体どんな魔力を持っているんだ、私を恋に落とすような……」

しかも、止められないほどに。

黒田真一は目の前の女性を見つめ、まるで彼女を心の奥底に刻み込むかのように凝視した。

西村絵里:「……」

どんな魔力?

黒田真一も自分がなぜ彼女を愛してしまったのか分からないのか?

西村絵里は少し笑いと涙の間で揺れていた……

「黒田真一……こんな風に告白する人いないわよ、全然プロフェッショナルじゃない」

普通なら、花束とロマンチックな環境があるべきでしょ?

でも……

黒田真一の告白を聞いて、とても不思議な気持ちになった。

西村絵里はどうしていいか分からなかった……

黒田真一は薄い唇を少し上げ、感慨深げにため息をつくと、大きな手で西村絵里を抱きしめた。

「まず、西村絵里、君は私の妻だ。これは変えられない事実で、私たちは二人とも法律を守る市民だ」

西村絵里:「……」

そうね……

黒田奥さん、この三文字が自分を三年だけ縛ると思っていたのに、まさか一生縛ることになるとは。

西村絵里は小さな手を握りしめた。以前なら黒田真一の言葉に反論できたのに、今は口が開けないことに気づいた。

なぜなら、黒田真一の言っていることは事実で、しかも彼はそれを繰り返し強調していたから。