第491章 黒田さんが用意したサプライズ2更(2)
黒田真一の黒い瞳が深く沈んだ。
きっとまた小さな甘奈が残していったものだろう。
この母娘は...本当に同じ考えを持っているようだ。
「もういいわ...からかわないで、黒田真一...まず彼女を抱いて洗面所に連れていって。私は...ちょっと用事があるの。」
最後の方で、西村絵里の声はとても小さくなった。
自分はピアノルームの後片付けをしなければならない...
さもないと...ルームサービスのスタッフが来て、それを見たら...
その光景は想像するだけで恥ずかしい。
西村絵里は考えるのも怖かった。
これは...夫婦の情事が、ピアノの上にまで及んでしまった...
自分と黒田真一以外には、こんなことをする人はいないだろう。
だから...ルームサービスが来る前に、自分で片付けなければならない。
黒田真一は西村絵里の顔が不自然に赤くなり、視線がさまよい、最終的にピアノルームに向けられるのを見た。彼の細長い黒い瞳が少し細くなり、墨を流したように深く、物事を見通すようだった。
「わかった。」
...
「パパ、ママ、おはよう。」
甘奈はふっくらとした頬で西村絵里と黒田真一の頬に近づき、それぞれに大きなキスをした。とても甘い香りがした。
黒田真一は大きな手を伸ばして小さな甘奈を抱きかかえた。
甘奈は普段からよく食べるのに、太らない体質だった。
しかし触ると肉付きがよく、西村絵里とほぼ同じタイプだった。
黒田真一は甘奈を抱いて浴室へ向かった。西村絵里は深呼吸して、自分の高ぶった感情を抑え、心を落ち着かせてから、素早くピアノルームへ向かった。
歩きながら、両脚の間がひりひりと痛むのを感じた。
全身がだるく力が入らない。
完全にしおれたようだったが、黒田真一は...
ずっと元気いっぱいで...
しかも満足げな顔をしていた。
なのに...
昨夜ずっと頑張っていたのは彼なのに、最も疲れているのは自分のようだ。
男性と女性の先天的な違いだ。
不公平だ。
...
西村絵里はタオルを持ってピアノルームに入ると、顔が真っ赤になった。
ピアノルームは散らかり放題で...
とても荒れた状態だった...
西村絵里は昨夜の激しさを思い出し、急いで頭を下げて片付け始めた...
目の前の黒と白の鍵盤に視線が触れた...