大統領スイートの中:
西村絵里は足の震えで、ウールのカーペットに倒れ込み、悔しさでいっぱいだった。
黒田真一という人渣め……
衣冠禽獣。
少し……節制できないのか。
西村絵里が倒れた音で、ベッドの上の黒田真一と甘奈はすぐに目を覚ました。
黒田真一は西村絵里が床に倒れているのを見て、表情を変え、素早く起き上がり、西村絵里を抱き上げてベッドに寝かせた。眉をひそめ、西村絵里の両足を見て、彼女に何も問題がないことを確認してから、やっと少し安心した。
西村絵里:「……」
黒田真一……
髪は少し乱れ、目覚めたばかりで、胸元のボタンが2つ開いていて、引き締まった胸が露わになっていた。とても妖艶で、人を惹きつける。
西村絵里は不自然に視線をそらし、頬を少し赤らめた。
朝起きて、美男子が自分の前にしゃがんでいるのを見るなんて、特に昨夜二人がピアノルームで過ごした甘い時間が、西村絵里の脳裏に鮮明によみがえった。
西村絵里は今、目の前の男性をまともに見ることができなかった。
「あの……大丈夫よ」
西村絵里は苦労して口を開いた。
もし初日が半ば強引だったとしたら……
二日目は、まるで自分が魅了されたかのようだった。
情に溺れ、男性の熱いキスの下で次々と降参し、そして完全に陥落した。
すべては……黒田真一が自分を愛していると言ったからだ。
西村絵里はまるで少女のように、男性が言ったことをそのまま信じてしまった。
黒田真一……一度口にしたことは、必ず守る人だ。
「うん、どうしてそんなに不注意なんだ」
黒田真一はまだ少し眠そうな目をしていたが、その姿からは気品が溢れ、とても魅力的で、西村絵里を魅了していた。黒い瞳に心配の色が浮かんだ。
「私……昨日……あなた……」
西村絵里は途中で言葉に詰まった。
顔が真っ赤になり、血が滴り落ちそうなほどだった。
黒田真一によく聞けるものだ。もし彼が節制していなかったら、自分は今、足に力が入らない状態になっていただろうか?
西村絵里の続きの言葉は、黒田真一は女性の口から完全に聞き取れなかったが、大体理解できた……
西村絵里のこんな小さな妻のような姿が大好きで、黒田真一の瞳はさらに深みを増し、思わず大きな手で西村絵里の後頭部を抑え、女性の唇を自分の方へ引き寄せた。
確かに昨夜は節制しなかった。