第501章 パパとママの夜勤1更(2)

他の二部屋は空いていて……特に余分な装飾もなかった。

西村絵里は美しい瞳を見開き、なぜ黒田真一が二部屋を空けているのか理解できなかった。

黒田真一は女性の困惑した様子を見て、眉を上げ、確信を持って言った。

「弟くんと妹ちゃんと、もう一人の弟くんの部屋だよ……まあ、生まれたら飾り付けるさ」

西村絵里：「……」

つまり、黒田真一は四人も子供を作るつもりなのか？

西村絵里は混乱した。自分は豚ではないし、そんなにたくさん産めない。

西村絵里は聞こえなかったふりをして、隣の寝室へ向かった。

一方、甘奈は黒田真一の言葉を聞いて興奮し、期待に満ちた声で尋ねた。

「わぁ……パパ、私たちのチームにこんなにたくさんのメンバーを送ってくれるの？パパ、すごい！絶対にパパを昇進させて、大きな副団長にしなきゃ」

黒田真一は眉を上げた。うーん……三歳の小さな女の子に昇進を手配してもらうなんて、その感じは悪くない。

「いいよ、パパはもっと頑張るよ」

少し間を置いて、黒田真一は西村絵里の赤面した様子を見て、付け加えた。「今夜、パパとママは残業して頑張るよ」

西村絵里：「……」

西村絵里は父娘の二人がとても嫌になった。

今や……「残業」という言葉をまともに聞けなくなっていた。

黒田真一に言われたせいで、一瞬でその言葉が妙に艶めかしく、色っぽく感じられるようになってしまった。

……

広大なお城の見学を終えて、西村絵里はようやく甘奈の小さな手を引いて階下に降りた。

青い空と水、美しい景色が広がり、言葉では表せないほどの美しさだった。

西村絵里は波の音を聞きながら、暖かい海風を感じ、気分がずっと良くなった。

黒田真一は母娘のためにボヘミアンスタイルの長いドレスを特別に用意していて、海風が吹くと特に優雅に見えた。

「黒田さん、黒田奥さん、昼食の準備ができました。どうぞお召し上がりください」

「ああ」

黒田真一は軽く返事をして、甘奈を抱きかかえてダイニングルームへ向かった。西村絵里はその様子を見て、思わず口を開いた。

「黒田真一……実は子供をいつも抱っこする必要はないわ。自分で歩かせてもいいのよ」

「大丈夫だよ、俺の娘だし、俺が喜んでやってる。歩かせたら、もし不注意で転んだらどうする？」

西村絵里：「……」