西村絵里は、準備が早すぎるんじゃないかと言いたかった。
でも……
それでも、とても気に入ってしまった。
甘奈の部屋は薄い青色とピンク色で、女の子らしい雰囲気が十分に出ている。
しかし、この部屋は明らかに小さな男の子のために準備されたものだった。
部屋の中は少し暗めの色の装飾が施されていて……
そして……女の子のお人形とは違って。
この部屋には、大きな本棚全体に、リアルな玩具の銃や戦車、パズルなどが並んでいた。
西村絵里は思わず笑ってしまった。
黒田真一……
彼もなかなか頑張っているな。
自分と彼はまだそういう関係でもないのに、弟の部屋はもう前もって準備されていた。
西村絵里が嫌そうな顔をしていると、黒田真一に直接抱きしめられた。
「本当は一時的にまだ君と甘奈に見せるつもりはなかったんだ。でも見てしまったからには……どう?気に入った?これは息子のために準備したんだ、気に入った?」
西村絵里:「……」
息子だの何だの、黒田真一はなんてあけすけに言うんだろう。
西村絵里の顔は真っ赤に染まった。
黒田真一が堂々としていればいるほど、自分は少し心もとなくなった。
これは……弟はいつ来るの……
自分はまだ心の準備が全くできていない。
まさか、黒田真一が子供部屋まで準備しているとは思わなかった。
「あなた……今はまだ早すぎるんじゃない?黒田真一、私はまだあなたと弟を作ることに同意してないわ。」
「僕が計画したことは、必ず実現するよ。時間の問題だけさ。」
黒田真一はいつもそのように全てを確信している人で、自分の好きな女性や欲しいものに対しては、どんな代償を払ってでも手に入れようとする。
西村絵里:「……」
黒田真一、こんなに傲慢なこと、自分でわかっているのかしら?
西村絵里は黒田真一に対して心の中で嫌悪感でいっぱいだった。
しかし、男性がこれほど自信に満ち、全てを確信している姿は、見ていると……心にどこか異なる感情が湧いてくる。
女性は……みな強引な男性が好きなものだ。
個性的で。
無敵で、王者の風格を持つような、これらの言葉は黒田真一の身に完璧に体現されていた。
甘奈は自分の王女の部屋から走り出てきて、黒田真一と西村絵里が弟の部屋にいるのを見て、近づいて興奮した様子で尋ねた。