しかし、本当に広い水域が怖くて、特に体全体が水に浸かっている時、水が自分にかける圧力が怖い。
以前は肩にかけていたバスタオルが、いつの間にか波に打たれて流されていた。
黒田真一の視線が西村絵里に触れ、彼女の愛らしく妖精のような水着姿に、喉仏が何度か上下した。
「しっかり掴まって……まずはこの海に慣れさせてあげる。」
「うん。」
西村絵里は黒田真一の首に腕を回し、彼に抱かれたまま深海へと泳いでいった。
ここの海水は、本当に比類なく青かった。
西村絵里は海の中の色とりどりの魚たちを見ることができ、とても可愛らしかった。
西村絵里は思わず唇を曲げ、笑い声を漏らした。
「黒田真一……見て……」
「うん……」
黒田真一は西村絵里の口角が上がる様子を見て、瞳の奥に一瞬暗い光が走った。