他のことはどうでもいい……
「うん……ありがとう、村上秘書、わかったわ」
「奥様の作品が素晴らしかったのです。同じ選考に出された作品の中で、あなたのデザイン作品の評価点が最も高かったのです」
「ありがとう」
西村绘里は幼い頃からデザイン作品が大好きで、西村安国の支援もあり、小さい頃から様々な規模のデザイン作品に触れ、多くの有名デザイナーとも交流してきた。
基礎が自然と固まっていた。
だから……矢崎凌空は黒田グループに長年いるものの、デザインのレベルは明らかに自分より劣っていた。
ただ……矢崎凌空は裏道が多い。
いわゆる山口琴子のスパイをしているだけでなく……さらには不正な競争手段を用いて、他のデザイナーのデザイン案を奪い取ることもある。
……
黒田真一も西村绘里のデザイン作品が選ばれたことを大いに称賛した。
西村绘里のレベルは、誰よりも上だった。
自分が裏で操作したわけではない。
自分の女だからといって、そこまで卑劣なことはしない。
黒田真一は黒い瞳を細め、うなずいた。
「村上秘書、仙台に戻ったら、総務部の者に契約の手続きをさせてください」
「かしこまりました、黒田社長……」
……
西村绘里はしばらく仙台市のことを気にしていなかったが、手元のタブレットを取り、最新の仙台市のニュースを確認した。
携帯の電源が切れていたため、メッセージも電話も受信できなかった。
黒田真一と村上秘書が会社の事や、着陸後のスケジュールについて話し合っている間、西村绘里は暇つぶしに掲示板やニュースを見ていた。
仙台市の世論ニュースに目を向けると、美しい瞳が驚きで見開いた……
なぜなら……最初のニュースの主人公は自分が知っている人物だったから。
井上莉菜……
西村绘里:「……」
彼女がどうしてニュースに出ているの?
見出しには「私生児が玉の輿に乗り豪邸に住む」と書かれ、文章は節度がなかった。
西村绘里は唇を噛み、小さな手でタップして、具体的なニュース内容を確認した。
ニュースの一番上には動画があった……
西村绘里は無意識に動画を再生した。
動画の中では、井上莉菜がレストランで食事をし、ウェイトレスを罵倒している場面が映っていた。
「目が見えないの?これはシャネルよ、あんた弁償できるの?恥知らずな女……」