臨海別荘:
西村絵里は視線を少し離れた黒田真一に向け、口元の笑みが凍りついた……
まずい……
今日は前に香坂悠生のことがあって、今度は藤原海翔だ。
本当に次から次へと問題が押し寄せてくる。
西村絵里は小さな手を伸ばして目の前の藤原海翔を押しのけようとしたが、藤原海翔は意地を張って、不機嫌そうに口を開いた。
「お前はほんとに、甘奈ちゃんみたいに素直じゃないな。俺にちゃんと抱きしめさせてくれないか?もう少し長く。さっきはマジで死ぬかと思ったんだ、お前を失うのが怖かった」
藤原海翔は一気に心の内をすべて吐き出した。
不安……
狂おしさ。
西村絵里に何かあったと知って、彼女の携帯に連絡が取れず、彼女がいそうな場所をすべて探し回った……
最後に、ようやく臨海別荘だと確信した。