第535章 甘奈の虫歯を診る1更(2)

あるいは……他の理由かもしれない。

西村絵里の心は締め付けられ……不自然に口を開いた。

「あの……藤原三郎は私のことを心配して、様子を見に来たんです。」

「ふむ。」

黒田真一は細長い黒い瞳を少し細め、目の前で同じように心配している藤原海翔を見た。

香坂悠生は病院に横たわっている……

この藤原海翔は心配のあまり魂が抜けたようだ。

自分は今日、ほんの少しで世界を失ったような気分だった。

この仙台市では、三人の男が西村絵里を愛している。

しかも……三人とも企業のトップだ。

黒田真一の黒い瞳に一筋の暗い光が走った……

西村絵里……

この女性はいったいどれほどの魔力を持っているのか、自分が彼女に夢中になり、他の男たちも次々と彼女に惹かれ、まったく手に負えない。

「藤原様がせっかく来られたのだから、お客様だ……村上秘書、お茶を出してくれ。」