矢崎凌空の体つき……
まさに典型的なヨーロッパ人の体型だね、曲線美が際立って……
噂によると胸はかなり整形しているらしいけど。
でも……重要なのは……出世よ。
矢崎凌空の過去について、西村絵里も多少は聞いていた。
この矢崎凌空は、バックを見つけるのが上手で、山口琴子を見つけたわけだ。
西村絵里は美しい瞳に一筋の暗い光を宿し、矢崎凌空のこの傲慢な様子を見て、なぜか……心の底から軽蔑していた。
西村絵里が最も嫌うのは、権力を笠に着て人をいじめる者だ。
……
西村絵里は矢崎凌空が自分を黒田真一のオフィスに連れて行く理由がわからなかった。
黒田グループの社員でさえ、黒田真一に会うには事前予約が必要なのに。
村上秘書は矢崎凌空と西村絵里が黒田真一に会いたいと確認すると、恭しく黒田真一に電話をかけた。
「社長……デザイン部の矢崎凌空と……西村絵里がお会いしたいそうです。」
黒田真一:「……」
西村絵里……
黒田真一は黒い瞳を細め、淡々と返事をした。
「いいよ。」
電話の向こうで黒田真一が返事をしたのを聞いて、村上秘書はすぐに電話を置き、口を開いた。「社長は今お時間があるそうです、お入りください。」
「ふん……」
矢崎凌空は軽く鼻を鳴らし、黒田真一のオフィスへ向かった。
村上秘書は矢崎凌空が気づかないうちに、西村絵里の耳元に近づいて小声で説明した。
「普段、社長は主任に会うのを好まないんですが……今日は、矢崎凌空さんがあなたの顔を立てて……奥様。」
西村絵里:「……」
周りにはまだ他の人がいる。
村上秘書のこの「奥様」という言葉は非常に小さな声だったので、自分と彼だけが聞こえたが、それでも西村絵里の表情は微かに変わった。
もし他の人に知られたら、良くないことになる。
なるほど……この矢崎凌空は通してもらえたのに、まだ不機嫌なのは。
おそらく、黒田真一が自分と彼女に会う気になったのは、主に自分のためだということを知っているからだろう。
「はい、わかりました。」
「西村絵里、何をぼんやりしているの?自分を慈禧太后の老仏様だと思って、私があなたを迎えに行かないと来ないつもり?」
西村絵里:「……」
矢崎凌空の無遠慮で周りを気にしない怒鳴り声を聞いて、西村絵里は目を暗くし、素早く彼女の後を追った。