社長室内:
西村絵里は黒田真一に隙間なく押し付けられ、彼の下敷きになっていた。
男の黒い瞳に込められた暗示は極めて明白だった……
西村絵里は唇の端を引き攣らせ、鼻息の間に男の魅惑的な麝香の香りが充満していた。
その香りが押し寄せ、彼女には逃げ場がなかった。
黒田さんは黒田奥さんとオフィスで戯れようとしている……
これは……まったく模範的な行動とは言えないのでは?
西村絵里は深呼吸をして、自分の上にいる男を見つめ、話そうとした。
「黒田社長……今はオフィスの中ですよ、あなたのイメージに気を付けた方がいいのでは。」
黒田真一は女性が必死に言い逃れの方法を考えているのを見て、黒い瞳に深い意味を込めながら、下にいる比類なき美しい女性を興味深げに見つめた。
「私は思うに……自分の妻の前では、イメージなど必要ない……それに、私たちはすでに関係を持った仲だ。」
くそっ、思わず罵りたくなった。
西村絵里:「……」
今や黒田真一は口を開けば「関係を持った」という言葉ばかりだ。
まるで特赦令を手に入れたかのように……
西村絵里は目の前の男に嫌悪感を抱き、細長い美しい瞳を少し細めた……
黒田真一とこれ以上関わりたくなかったが、男の薄い唇はわざと意地悪く、かすかに彼女の頬を撫で、そして頬から下へ……彼女の唇を掠めた。
そして……彼女の首筋へと滑り落ちた。
西村絵里は思わず唇の端を引き攣らせた……
「黒田真一……今は勤務中よ、少しは真面目にできないの?」
黒田真一は西村絵里の小さな口から「黒田真一」という三文字が出るのを満足げに聞き、唇の端を上げた。彼女の口から「黒田社長」という言葉を聞くのが最も不快だった。それはあまりにも作為的すぎる。
結局のところ……「黒田社長」は上司と部下の関係であり、自分と彼女は最も親密な夫婦関係なのだから。
黒田真一は細長い黒い瞳を少し細め、西村絵里を見つめ、厳粛に頷いた。
「もちろん……だが……今ではない……」
西村絵里の美しい瞳が一瞬凍りついた……次の瞬間、男の熱く燃えるような薄い唇が彼女の桜色の唇に落ち、その後、熱い息が嵐のように彼女に襲いかかった。
いつの間にか……男の大きな手はすでに器用に下へと移動し、彼女の腰に落ち、そして胸元のボタンが男によって熟練した手つきで一つずつ外されていった。