第576章 西村絵里は黒田奥様1更(1)

病室の入り口:

西村絵里は目の前で大言壮語する女性を見て、唇の端に嘲笑の色を浮かべた。

この山口琴子は……

本当に諦めきれず、今また黒田真一の前で自分を中傷している。

どうやら……黒田真一が自分をデザイン部の主任に抜擢しようとしていると勘違いして、この機会に自分と黒田真一の関係を引き離そうとしているようだ。

西村絵里は唇の端に薄い弧を描き、山口琴子のような人と言い争って恥をかかせることは……

確かに……

自分には全く興味がない。

山口琴子は黒田真一におべっかを使っているが、そのおべっかは逆効果になっていた。

なぜなら、自分は黒田真一の外の女であるだけでなく、噂の黒田奥さんでもあるからだ。

そう思うと、西村絵里の全身からさらに冷たさが増した。

黒田真一はその言葉を聞くと、全身のオーラが完全に冷たくなり、恐ろしいほど厳しく、黒い瞳からは冷たい光が放たれていた。