第587章 年前の出来事2更新購読をお願いします(6)

自分は確かに香坂家の人なのに……

山口琴子は実の父親が亡くなった後、自分が黒田悠真の息子だと告げた。

「お母さん……黒田グループは兄の母親が父に持参した嫁入り道具だよ……僕たちには奪う理由なんてないよ」

「バカ言うんじゃないよ……何が嫁入り道具よ、あれは黒田家のものなのよ、あなたは黒田悠真の息子なんだから、当然あなたのものになるべきなの……それに、この仙台市では、黒田グループは香坂家の百倍の価値があるのよ。黒田グループを手に入れれば、お母さんの老後も、もしあなたのお父さんに何かあっても、お母さんには保障があるわ」

香坂悠生:「……」

時々、香坂悠生は本当に聞きたくなる。

山口琴子と黒田悠真の間に、本当に愛情があったのかどうか。

なぜ……いつも話すのは保障のことばかりなのか。

もし二人が本当に愛し合っていたなら、保障なんて気にするはずがない。

つまり、答えはただ一つ……

愛情はなく、利益だけだった。

香坂悠生の口元に再び苦い笑みが浮かび、彼は頷いた。

「お母さん、少し時間をください。落ち着かせてほしい」

「うん……」

……

山口琴子は病床に横たわる香坂悠生を見て、もどかしさを感じながら、男に何か起きないかと心配し、病室を出るとすぐに看護人を手配した。

山口琴子は目を細め、長年自分に仕えてきた山田さんが近づいてきた。

「奥様、明日はデザイン部の新しい主任発表の日ですよ」

山田さんは山口琴子に長年仕え、彼女が無名の香坂夫人から黒田悠真に近づき、最終的に黒田夫人になるまでを見てきた。

だから山口琴子の腹心でもある。

山口琴子はそれを聞くと、冷笑を浮かべ、目には毒と憎しみが満ちていた。

「いいわ、西村绘里と黒田真一は夫婦の力を合わせれば鉄も断つと思っているみたいだけど、私は彼らに教えてあげるわ……年の功とはどういうものか……この黒田グループは、必ず私たち母子のものになるわ」

「奥様は賢明ですね……」

山口琴子は頷き、山田さんのお世辞を楽しみながら、近くの椅子に座り、眉間をさすった。

「あの西村绘里、本当に腹立たしいわ、悠生の心をすっかり奪って……」

「そうですとも、あの時も……彼女のせいで私たちの計画が台無しになりましたね」

山田さんも西村绘里の印象は強烈だった。