第597章 黒田真一は藤原三郎の義兄2更(2)

今、これ以上何か曖昧な行動をとったら……

もう言い訳できなくなる。

「うん。」

黒田真一は西村絵里がすでに落ち着いた様子を見て、黒い瞳に一筋の殺気が閃いた。まさか、この井上莉菜がすでに釈放されていたとは。

しかも……よくもここに来る勇気があったものだ。

くそっ……

黒田真一は鋭い目つきで目の前の惨めな女を見た。先ほど地面に蹴り倒され、女は完全に惨めな姿をさらしていた。

「井上莉菜……本当に大胆な奴だな。」

井上莉菜は完全に狂乱状態に陥っており、黒田真一の叱責の声を聞くと、毒に満ちた目で目の前の西村絵里をじっと見つめた。

「ははははは、西村絵里……あなたは本当に幸せね。前回は香坂悠生があなたを助けに来て……ふふ、今回は黒田真一……次は藤原海翔があなたを助けに来るのかしら?」

「あなたはきっと狐の生まれ変わりよ。体を使って男を惑わすことしかできない。香坂悠生と藤原海翔を手玉に取って、今度は黒田真一まで……高校生の時から黒田真一を釣り上げていたんでしょ……きっと未成年のうちから男を誘惑して、純粋なふりをしていたのね。」

西村絵里は黒田真一に支えられてはいなかったが、完全に彼の腕の中に守られるように立っていた。

西村絵里の美しい瞳に一筋の暗い光が閃き、井上莉菜の嫉妬に満ちた言葉に対して、唇を噛んだ。

「井上莉菜……私はあなたに対して誠実だったと思うし、父もあなたに対して誠実だった……だからこそ、あなたが私たちの家族を恐喝していることを知りながらも、あなたの学費を支払ったのよ。私と香坂悠生のことは、あなたに会う前のことだった。私には、どこであなたに申し訳ないことをしたのか分からないわ。」

「それに……私の人柄がどうかは、本当に私を理解している友人が判断することで、あなたがここで妄言を吐く必要はないわ。」

黒田真一は井上莉菜が過激な発言をするのを心配して、すでに村上秘書に黒田グループのロビーにいる他の人々を全員退去させるよう手配していた。

一瞬のうちに、ロビーには井上莉菜を取り押さえている二人の警備員と、西村絵里、そして黒田真一だけが残った。

西村絵里は口元に冷たい笑みを浮かべ、目の前の女を見つめながら静かに言った。