第596章 黒田真一は藤原三郎の義兄2更(1)

黒田グループの大ホールにて:

西村絵里は目の前で毒気を含んだ目をして不気味な表情を浮かべる女性を見つめ、深く息を吸い込んだ……

今は逃げることもできず、じっと死を待つよりも……

むしろ……

自分の腕で一撃を防ぐほうがいい。

そうすれば、体へのダメージを最小限に抑えられる。

冷静に分析した後、西村絵里は無意識に右手を上げ、井上莉菜が振りかざす鋭い刃から身を守ろうとした。

生死の境目で……

前回、頭に浮かんだのは甘奈や西村安国とは違って。

今回は……

西村絵里は無意識のうちに黒田真一のことを思い浮かべていた。

今回、男性の整った顔が目の前に大きく広がった……

妖艶に、あるいは遊び心を持って、あるいは甘やかすように、あるいは妖しく。

西村絵里は美しい瞳をきらめかせ……腕を上げながら、ゆっくりと目を閉じた。