046 抱っこしてあげようか?

藤原家:

嫁さん……

村上念美の瞳が微かに動き、藤原景裕の心配そうな声が耳元に響いた。

「まだ歩ける?抱っこした方がいい?」

「い……いいえ、大丈夫です、歩けます。」

「うん。」

熊谷紗奈は腹立たしく思った。うまく計画していたのに村上念美に邪魔されてしまった。

「南町別荘と安藤家は同じ方向だから、景裕、ついでに安藤萱子を送ってあげて。女の子一人で帰るのは、母さんとしては心配で。」

村上念美:「……」

熊谷紗奈がここまで言うと、村上念美と藤原景裕は何も言い返せなかった。

村上念美は藤原景裕が眉をひそめるのを見て、彼の手の甲に自分の手を置き、静かに言った。

「うん、同じ方向なら一緒に行きましょう……安藤さんは今日お母さんを見舞いに来てくれたし、あなたの部下でもあるし。」