村上念美は車を運転して空港に急いだ。木村陽太はすでに長い間待っていた。
「念美、久しぶり」
背筋をピンと伸ばし、青いスーツをきちんと着こなし、凛々しく端正で、温和な玉のような雰囲気を漂わせていた。
村上念美は口角を上げた。木村陽太の唇の端には常に春風のように明るい微笑みが浮かんでいて、人を心地よい気分にさせた。
男性の声はたいてい優しく厚みがあり、安心感を与えてくれる。
「道行く人は玉のごとく、この世に並ぶ者なき公子なり」
木村陽太を見ると、村上念美の頭にはいつもこの言葉が浮かんだ。
言ってみれば、木村陽太の性格と藤原景裕は正反対だった。
時々、村上念美は不思議に思った。木村陽太のような温和で上品な人がどうして藤原景裕のような冷たく雪のような人と付き合い、親友になれたのだろうか。
幼い頃から、木村陽太はいつも兄のように自分を細やかに世話してくれた。一方、藤原景裕といえば、彼は高慢で気位が高いことに慣れていて、自分のような若輩者は彼が最も嫌うタイプだった。
村上念美の瞳が少し動いた。小学生の頃、裏通りで不良に囲まれたことを思い出した。勇気を振り絞ってリーダーの急所を蹴り、そのまま逃げ出した。
結果として膝を擦りむいてしまった……
家に帰った後、胸いっぱいの悔しさを家族に言えず、木村陽太が優しく慰めてくれて、丁寧に薬を塗ってくれた。
一方、藤原景裕は鼻で笑い、自分のことを愚かだと嫌った。
後になって、因果応報なのか、あの不良たちは誰かに激しく殴られ、警察署に連行されたという噂だった。
中学生になると、数学は女の子の天敵で、自分はいつも不合格だった。木村陽太はいつも忍耐強く説明してくれた。
一方、藤原景裕は……授業中に寝て、チャイムが鳴るとすぐに外に走り出す自分をからかった。
さらに、自分は重点高校に合格できないだろうと宣言し、村上念美を怒らせて奮起させ、高校の合格通知書を藤原景裕の顔に叩きつけてやると誓わせた。
後に、自分は確かに重点高校に入学できたが、藤原景裕は軍隊に入った。
……
3年前、村上佑城、木村陽太、藤原景裕……三人は常に一緒だった。
3年後……村上佑城については言葉にしがたい。
木村陽太はあの年に自分と一緒に去り、藤原景裕と完全に絶交した。