村上氏社長室:
病状……
村上念美は唇を引き締め、この二文字を呟いた。木村陽太の心配が伝わってきて、その後優しい声で言った。
「うん、木村陽太兄さん、あなたはよく知っているでしょう、シアトルにいた時にはもうほとんど良くなっていたわ」
少し間を置いて、村上念美は続けた。「不思議なことに、心の病は心で治すものね……ここに戻ってきて、私の感情が刺激されて、継続的なリハビリ治療が必要になるかと思ったけど、意外と状態は良いの。ほら、何もなかったみたいでしょう」
村上念美は木村陽太を安心させようとしたが、小さな手は気づかれないように握りしめていた。
木村陽太に自分のことで心配させたくなかった、特に一連のごたごたについては。
……
「そうなの?」
木村陽太は村上念美の言葉を聞いて、ゆっくりと立ち上がり、村上念美の前に歩み寄った。長く白い指が村上念美の額の前髪に触れた。