072 私は女性に負担をかける男ではない

景山瑞樹は図らずも、村上念美が熊谷紗奈と安藤萱子を苦しめるのを手伝ってしまった。景山瑞樹が3年前の出来事の首謀者だったと聞いて、熊谷紗奈は怒りで鼻から煙が出そうだった。

「お義母さん、行きましょう。もしお体を壊されたら、元も子もありません」

安藤萱子の言葉は熊谷紗奈に引き下がる余地を与え、あまりにも見苦しい思いをせずに済んだ。

「村上念美、覚えておきなさい」

去り際に、熊谷紗奈は思わず捨て台詞を吐いた。念美は口元をゆがめた。ちょうど良かった、もう脅し文句を聞いて怖がる年齢は過ぎていた。

……

熊谷紗奈と安藤萱子が去った後、念美は頭が痛くなった。熊谷紗奈の性格からして、きっと藤原氏に行って藤原景裕の前で大げさに話を作り上げるだろう。

念美は振り返り、目の前の妖艶で魅惑的な男を見つめ、ソファに座ると不機嫌そうに言った。「あなたに感謝なんてしないわよ……景山瑞樹、あなたは私に大きな問題を引き起こしたのよ」