085 不孝に三あり、後無きは大なり

藤原家:

藤原大旦那様は村上念美から視線を外し、口を開いた。「まずは手を洗って食事にしよう。料理はすでに準備させてある。来春さんが用意したもので、全部お前の好物だ」

村上念美はその言葉に心が温まり、頷いた。

「ありがとう、おじいさま」

村上念美は視線の端で藤原大旦那様の側にいる熊谷紗奈を見て、美しい瞳を細めた。

熊谷紗奈が怒りを必死に抑えている様子を見て、気分は悪くなかった……

……

大旦那様の考えは藤原景裕と同じく、読み取りにくい。

夕食は温かい雰囲気とは言えないものの、皆が時々会話を交わし、比較的平穏だった。

藤原大旦那様は時折、村上念美にもっと食べるよう勧めた。

藤原陽はちらちらと村上念美に視線を送り、熊谷紗奈に至っては瞳に険しさを宿していた。

村上念美は食欲はそれほどなく、適切な笑みを浮かべながらも、心の中では早く立ち去ることを考えていた。

……

夕食後、村上念美と藤原景裕は大旦那様とお茶を楽しんでいた。大旦那様が咳き込むと、藤原陽はすぐに声をかけた。「お父さん、大丈夫ですか?」

「天気が冷え込んできたからな。年を取ると風邪をひきやすくなるものだ……」

藤原景裕は黒い瞳を細めた。午後、大旦那様が電話で自分を叱責した時は、まだ力強い声だったのに。

「年を取ると、実は子や孫に囲まれたいと思うものだ。残念ながら、藤原家は人が少ない」

村上念美:「……」

この言葉はあまりにも直接的だった。

もし自分がこの意味を理解できないなら、本当に愚かだろう。

村上念美は唾を飲み込み、こっそり藤原景裕を見た。子供の話については、藤原景裕に話してもらった方がいいだろう。

「おじいさま、私は念美とまだ二人の時間を楽しみたいと思っています」

藤原景裕は大旦那様の考えを理解していた。景山大旦那様が孫嫁防衛戦を始め、介入してきたので、大旦那様は曾孫を得ることで景山大旦那様を一気に打ち負かそうとしているのだ。

まさに二人の大旦那様の間の孫嫁防衛戦だった。

藤原大旦那様が口を開く前に、傍らの藤原陽がすでに我慢できずに叱責した。「何が二人の時間だ?村上念美が子供を望んでいないんだろう?景裕、お前ももう若くない。不孝に三あり、後継ぎなきは大なりだぞ」

熊谷紗奈は藤原陽も孫を望んでいることを見て取り、急いで腕で藤原陽を押した。