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夕食を終えた後、村上念美は土地競売会の物件を調査し、村上氏に役立つものがないか物色していた。
来春さんは掃除を終えると、自ら部屋に戻り、村上念美と藤原景裕の二人の世界を邪魔しないようにした。
ボスは村上念美がソファに一人で座ってパソコンの画面を見ているのを見て、我慢できずにソファに飛び乗り、村上念美の隣に横たわり、珍しく大人しくしていた。
村上念美は視界の端でパソコン画面の右下を見ると、すでに9時半だったが、藤原景裕はまだ帰ってきておらず、どうしても気が散ってしまう。
村上念美はあくびをし、もう少し頑張ってパソコンの画面を見続けた...
もう我慢できなくなり、村上念美は思わずボスに寄りかかって居眠りを始めた。
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11時半:
村上念美がサンタの日を自分と一緒に過ごすことを楽しみにしていることを知っていたので、藤原景裕はフランスでの全ての仕事を国内で行うよう前もって手配し、今後一週間で残業してフランスの案件を解決することにした。
藤原景裕は静かに車を別荘のガレージに入れ、大広間に入ると、温かい灯りの下、パジャマ姿の村上念美がボスのお腹の上で眠っているのが見えた。
ソファのテーブルにはノートパソコンと一杯のコーヒーが置かれていた。
藤原景裕は黒い瞳を少し顰め、天気が冷え込んできて、リビングにエアコンがついていても、風邪をひきやすい。
ボスの警戒心は非常に高く、藤原景裕が近づくにつれ、村上念美がまだ熟睡している中、ボスはすでに素早く目を開け、警戒した表情を浮かべていた。
"シーッ..."
藤原景裕が静かにするよう合図すると、ボスは元々吠えようとしていたが、藤原景裕の言葉を理解したようで、大きく吠えることなく、少し怖がっていた。
このご主人様は、僕をいじめるのが好きなんだ、アウゥ...ワンワン。
"動くな..."
ボスはソファから降りようともがいていたが、再び藤原景裕に止められた。
ボス:"..."
とても悔しいけど、どうしようもない。
藤原景裕はボスの振る舞いに満足し、うん、今日は来春さんにボスを連れ戻すよう手配したのも、村上念美が夜に別荘で寂しくないようにするためだった。
ボスはいくつかの面では少しは役に立つようだ。
藤原景裕は上着を脱ぎ、首元のネクタイを緩め、その後身をかがめて慎重に村上念美を抱き上げた。